アニメ『デス・パレード』に関する評価レビュー

アニメ『デス・パレード』は、少し変わった形でストーリーが展開しながらも、道徳的な問題を考えさせられるアニメとなっていて、とても楽しく鑑賞できました。

各エピソードには、おなじみのバー「クイーンデキム」に2人のお客が登場し、白髪のバーテンダー・デキムが迎え入れます。デキムは、不信感、欺瞞、嫉妬、怒り、憎しみ、強欲といった人間の内面を試すゲームを主催し、ゲーム参加者であるお客を極限状態になるほどまで陥れます。

毎回入れ替わるゲーム参加者たちは、復讐心、正義感、後悔、償いを求める心など、さまざまな反応を示します。彼らは記憶が曖昧なので(バー到着前に、デキムが収集して分析している)、デキムがそれぞれの行為だけに基づいて裁定を下します。

アニメ『デス・パレード』は、「登場人物」に特に焦点を当てた物語といえます。場面数が限られているため、同じ人物が何度も登場しますが(フラッシュバックや回想を除く)、反復や端折られることはありません。1時間におよぶアニメとしては、驚くほど見事な構成です。

もし一話完結型のアニメであれば、毎回違う人が裁定を受けに来て、最後に結論が出されるというシンプルな構成になっていたでしょう。もしくは、1回の裁定にエピソード2~3回分をかけてアークにすればやりやすかったでしょう。

『デス・パレード』では、こうした要素と2つのサブプロット(いずれも重要な伏線)を組み合わせることで、「まったく道徳に反する状況に陥ると人間はどうする?」や「人間の本性とは何か?」といった本質的な問いを投げかける、よくまとまった巧妙な物語に仕上がっています。

描画とアニメーション

『デス・パレード』の作中には、暗く不吉なトーンが多く含まれてます。この不吉なトーンとは、黒、紫、赤、青が混ぜ合わされて浮かび上がり、鮮やかな光と影の動きがうまく作用しています。ちなみに同作品は、マッドハウスが制作を担当しました。作中には、制作者による細部へのこだわりと努力が反映されています。

また、キャラクターデザインには一貫性があり、メインフレームがきれいに流れます。特に目立っているわけではありませんが、三次元CGIが活用されており、セルシェードのカモフラージュが見事で顕著な効果があります。なので、全体的に自然で滑らかな動きとなっています。

さらに、登場人物の顔には、悲しみ、後悔、怒り、希望が伺え、アニメなのに、本当の感情が込められているかのような印象を受けました。

中でも、最大の特徴は、すべてが明確かつシャープで、流れるように動くことです。ほとんどのシーンで、暗い色調なのですが、時に渦巻く光と闇、そして眩しいエネルギーの爆発で彩られてます。物語の舞台となるのは、暗いボールルームなのですが、その暗闇と影の中から、照明と光を対照的に浮かび上がらせています。

サウンドと声優陣

アニメ声優陣の見事な演技によって、登場人物にとても共感できたのが印象的でしたね。感情、口調、雰囲気が、明確かつ効果的に表現されています。声によって、悲しみや苦しみ、それにひらめきや希望が表現されていて、私は何度も泣かされました笑。

BGMに関して言えば、『デス・パレード』は静かなシーンが多いので、挿入曲によりドラマチックで強い感情が表現されています。BGMの大半は、落ち着いたピアノ音楽で、静謐でメランコリックなシーンによく調和しています。